みちくさあそびのススメ
娘が小学校1年生の時、時間になっても家に帰ってこなくてちょっとした騒動になったことがありました。学校の先生も含めてみんなで大捜索。しばらくすると道端に娘のランドセルが落ちているのが発見され、そのそばに友だちとふたりで田んぼに顔を突っ込むのかというほどのぞき込んでいる娘がいました。「みてみて!オタマジャクシがいっぱいいるの~!!」その純粋な言葉に大人たちは注意することも忘れ、苦笑いして「ほんまやなぁ」って一緒にみんなでオタマジャクシを見たそうです。
こどもたちにとっては毎日が「これなんやろ」「ふしぎだな」のくり返し。石をひっくり返して、ダンゴムシを観察したり、草笛を吹きながら帰ったり。こどもはおもしろくない時間を楽しく変化させる天才で、いつも何かしらあそびながら帰ってきます。
ジャンケンで勝った歩数を進む「グリコ」のように、名前のあるあそびもありますが、正式な名前がない「あそび」も、こどもたちにとっては大切なあそびです。これを読んでいる皆さんもきっと、学校からの帰り道はいろんなことをしながら帰ったはずです。
「道路の白い線を辿って歩いて帰る」「同じ石をずっと家までけって歩く」等は日本全国共通。でも札幌の児童会館の先生とお話しした時は、「だれも踏んでいない雪の上を歩いて帰る」とか「ツララで戦う」「ランドセルをお腹側に持って雪やまを滑る」「雪に顔の形をつける」など雪にまつわる名前のないあそびがたくさん出てきました。
大人になると、楽しむ余裕や心のゆとりがなくなって、いつの間にかこどもたちに、「はやく」とか「あぶない」「きたない」など禁止や注意をするばっかりになってしまいます。確かに誰かに心配かけることはいけないことかもしれないけれど、「みちくさ」ってダメなことでしょうか。まっすぐ家に帰ってくることも大切だけど、興味関心を広げながら安心して「みちくさ」できる環境のほうが、素敵な帰り道だと思うのです。ぜひ今度お買い物などの帰り道、大人も一緒になってみちくさしませんか。
(文:金坂 尚人 イラスト:渋谷 薫)

お話してくれた人
金坂 尚人さん
富山県出身。神戸市立六甲道児童館館長。京都教育大学非常勤講師
専門はベーゴマ・こままわし・ひかる泥団子・草花あそび等伝承遊び。

絵をかいた人
渋谷 薫さん
イラストレーター・グラフィックデザイナー
東京都在住 多摩美術大学卒業 イラストレーション青山塾修了
絵をかいているとき とても楽しい
私のかいた絵をみた人が 楽しい気持ちになってくれたら 楽しいがふえて とてもしあわせ そんな絵をかきつづけたい
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