夢とチャレンジ①

こんにちは、札幌市の児童会館ではたらいている小沼祐美です。
わたしの実家は、札幌から約300キロメートルもはなれた道東の中標津町(なかしべつちょう)というところで、牛をかって ちち をしぼる仕事をしています。みなさんが食べているチーズやバターのもとになる ちち(せいにゅう) を作っているのが「らく農家」です。もともとは私の親がやっていましたが、今は弟があとをついで、らく農の仕事をしています。小さなころから「らく農家」にあこがれていた弟。そんな「ゆめ」をかなえた弟に、今回はじめて仕事の話を聞いてみました。
みなさんが大人になったときに、なりたいものをさがしたり、目指したりするヒントになったらうれしいです!


「らく農家になって、21年になるな。自分としては、気づいたらなっていた感じの方が強いけれど、小さいころから、トラクターに乗るのが好きだったから、らく農をする きっかけはトラクターに乗れることが大きかったのかもしれないね。らく農の みりょく は たくさんあるよ。まず、第一に、生きものと ふれあえること。新しい命が生まれるしゅんかんに 立ち会えた時、生まれたばかりの子牛が、初めて立ち上がる しゅんかん を見られた時には、本当に感動する。いっしょうけんめい立ち上がろうとする姿なんて、毎回感動するんだよ。その子牛たちが、日に日に大きくなっていく。牛一頭一頭にも それぞれ せいかくがあって、世話をしているうちに大事な家族みたいに思えてくるんだよ。そして、おれは 農家で使う道具、農き具のような メカがすきだから、大きな農き具で、細かな作業ができた時とかは「よしゃー」って、何かをやりとげた感じがあって、すごく気持ちがいい。思いをこめて育てた牛たちが、いい牛にゅう を出してくれた時もうれしいよ。毎日のがんばりが数字で見えるから「ああ、やっていてよかった」って思えるんだ。毎日楽しいことだけじゃないけど、こういう時があるから、がんばれる。牛の成長と、おいしい牛にゅうを とどけることが、らく農のみりょくなのかもしれないね。

おれの仕事は 朝は3時に起きて、エサやりに行くのが中心。さく乳(さくにゅう:牛の乳をしぼること)や ぎゅうしゃ(牛の住むところ)の そうじ は、他の人たちの仕事で同時にやっていくんだ。うちはいくつかの らく農家が集まってしている 「きょうどうけいえい」という形をとっているから、スケジュールを合わせながら、それぞれの仕事を分けて持っているんだよ。
この仕事は他の仕事とくらべると、自由な時間は少ないかもしれない。牛の世話は毎日だし、朝早くから始まるし、決まった休みとか長い休みとかも取れない。
つらいときは、らく農をやっている友だちや なかま と話をするんだ。苦しい時を分かち合える なかま がいるっていうのは大事だよね。助け合ったり、新しい ぎじゅつ や知しき を教えあったりして、たいへんなことを乗りこえるヒントになることも多いんだ。
思うようにできなかったり、牛の調子が悪かったりと大変なことも多いけれど、この道を選んだのは自分なんだから、前向きにやっていきたいと いつも思ってるよ。
今の「ゆめ」は、こどもたちが、いつか、この仕事をついでくれるといいなと思っている。もちろん、2人が自分でえらんだ道を大事にするけど、もしも らく農に興味を持ってくれたら、自分の持っていることや やってきたことをしっかり伝えたい。家ぞく みんなで力を合わせて、この牧場を守って、広がっていくってすごくいいと思わない?(←インタビューする姉に同意をもとめる 笑)
これを読んでいるみんなには、「ゆめ」を持つのは大切だけど、今は いろんなことに きょうみ を持って、見たり聞いたり、まずは、やってみてほしい。今、大人になってふりかえってみると、しょうらいにつながらないように思えることでも、ムダなことは1つもなくて、そういういろんなことが自分を成長させたんだなって思うんだ。みんなには自分をしんじて、進んでいってほしいな」。(お話:小沼 大さん インタビュー:小沼 祐美)
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おまけ
らく農家大さんが教えてくれた 元気になる牛乳レシピ
ミルクセーキの作り方
<ざいりょう>
・ぎゅうにゅう 150~180cc
・たまご 1個
・さとう 大さじ1
<作り方>
• ざいりょう を すべてミキサーに入れて(あわだてき でもOK) なめらかになるまで まぜる。
• コップに注いで かんせい!
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お話してくれた人
小沼 大さん
中標津町のらく農家。2児のパパ。最近は家庭菜園にはまっています。これから収穫の季節なので楽しみです!

しょうかいした人
小沼 祐美(北光児童会館)
こんにちは!わたしは札幌の児童会館ではたらいています。わたしが最近はまっていることは「謎解きゲーム」です。みんなで力をあわせて謎をといて、目的を達成できたときはとてもうれしいです。

絵をかいた人
有賀 一広さん
イラストレーター 1971年 8月31日長野県生まれ。神奈川県鎌倉市在住。主な仕事に「日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―」増補新装版/KADOKAWA)
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